心療内科へ行こう

前書き

さていよいよ今年も暮れてまいりました、@E_Rubikです。

この記事はOUCC Advent Calendar 2015の第9日目の記事です。昨日は@okwrtdshさんの「2015年の活動について振り返る」でした。

正直登録してしまったものの去年同様技術的にはお役立ち記事を書けそうにないので、今年は生活お役立ち情報のつもりで書いていきます。正直我ながらタイトルぶっ飛んでますが、この1年自腹で治験やってただけみたいなものなので、通院人生の集大成ということでひとつご容赦を。多分長文になるので、先年と同じく先にお知らせ要素を。

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皆様、OUCCをよろしくお願いいたします

明日のカレンダーについて

明日は@okwrtdshさんです。……あれ? 

では長い記事になるかと思いますが、お付き合いください。

下準備としてしておくこと

根回し

「皆には内緒にしておきたい」という方は、このセクションは読み飛ばしていただいても大丈夫です。

まずは周囲へ根回ししておきましょう。取り敢えず定期的な通院が必要かもしれないことは伝えておくべきです。これには3つ理由があり、1つは副作用などが出た場合のフォローへの事前承諾、もう1つはスケジュールを確保するため、最後の1つは切羽詰ったり殺伐としてきた頃に言い出すと「病気を盾に怠けたがってる奴」と見られたりして環境が悪化する可能性があるためです。

実際、卒論提出2週間前くらいに切り出して、赤入れ担当の先輩に詰り上げられて夜中トイレで泣いてた同期を知ってます。…ま、あれは詰り上げてた先輩の人格にもかなり問題あったと思いますが。

続いてスケジュールの確保ですが、本格的な欝となると少なくとも数ヶ月から数年単位での継続的な通院が必要となります。また、大抵の病院は土曜日は午前中まで、日曜は定休日 という営業形態になっています。このため場合によっては平日に通院日を捻じ込む必要が出てくるため、事前に通院が必要であることを周知しておくことは肝要かと思います。

最後に病状をどう説明するかですが、まずは例えば「眠れない」「動悸で苦しい」「吐き気が続く」「頭痛が酷い」「手が震える」「意識が途切れて集中が効かない」といった身体的な症状をまず前面に押し出した上で通院する旨を報告するのがよいと思います。というのも、欝を筆頭とした精神的な症状のつらさというのは体感してみないと解りにくいのと、「朝起きるのがつらい」とか「気分が塞ぐ」とか「なんとなく憂鬱」とかいった症状は心療内科での治療が必要な人でなくても多少なりに感じていることだからです。

そして、特に根回しが必要であろう上司や教官といった方々は多かれ少なかれ修羅場を潜ってその立場にいるので、比較的精神的にタフであったり「俺だってつらい中頑張ってるんだ」といった不満に近い心理を抱えていたりすることが多いのです。そうでなくとも、説明を聞く側は自分の感じる「気分が塞ぐ感じ」や「なんとなく憂鬱な感じ」の延長で考えてしまいがちですから、最悪の場合「俺もしんどい中頑張ってるのに何ふざけたこと言ってるんだコイツ」といった誤解を受けたり先述のように「病気を盾に怠けたがっている」といった風に受け止められてしまう といった事態に陥る可能性があります。その点、身体的な症状は聞く側からすると風邪や外傷に近しいくらいには「通院が必要な事情」として比較的納得しやすいと思われます。

勿論、自身としては精神的な症状が先行しているので精神的な症状を理解して欲しいという思いはあるかと思いますが、ひとまず目先の不調と通院へ理解だけでも得るためにはこのような便法がある と思っていただければと思います。

症状の書き出し

さて、続いて問診用に症状をメモに書き出しておきましょう。メモは受診の際持参しなくても構いませんが、書き出しておくと何かと便利です。

大抵訊かれる内容は

  • いつ頃から発症したか
  • どういった症状か(落ち着かない、眠れない、不安が続く etc.)
  • 悪化するのはどういう状況か、または常時症状が続くのか

といったことかと思います。「これぐらいなら咄嗟でも答えられるだろう」と思われるかもしれませんが、経験上案外そうもいかないものなのでスムーズな問診のためにも一旦書き出して整理してみるのが便利かと思います。

そして内科へ行こう

え? いや、タイトルからして「心療内科へ行こう」だし、心療内科に行くんじゃなかったの? と思われるかもしれませんが、まず内科へ行ってみてください。或いは学生さんなら学内の保健センター的なところに行ってみて下さい。理由はいくつかあります。

一つ目の理由は、内科的な疾患の見落としを防ぐためです。心療内科は基本的に精神疾患があることを前提に診察する傾向がある(下手したら採血できなかったりレントゲン室もなかったりする)ので、まずは内科に行って「これはストレス性だからストレス溜めないように」と毒にも薬にもならないというかどちらかというとイラっとくる医師の診断を受けてから安心して心療内科へ行きましょう。

二つ目の理由としては、急場かつ内科で済む症状であれば内科で済ませる方が経済的に楽なためです。心療内科で主に出る抗欝剤というのは基本的に新薬ばかりで高いのと心療内科の診察料が内科に比べて高くつく(保険が効いた上で 毎月診察料で3000円、薬代で3000円(1種類だけで)とかザラにある)上に飲みはじめから断薬までが長期戦になるのと、内科で処方可能な薬の中にも抗欝剤として作用する薬がありますし軽い睡眠薬くらいなら内科で出ます。内科なら検査がなければ多分半額くらいにはなります。あと学内の保健センターは薬代含めて多分無料です。

ただし内科で出せる薬は基本的に古い薬なので安いですし実績もありますが、ちょっと面倒な副作用があったりします。勿論本格的な欝であれば心療内科へ行くべきですし、短期的にお守り代わりとして飲むものと割り切った方がいいと思います。

三つ目の理由としては、ぶっちゃけ個人的な話ですがいきなり心療内科行くより「内科に行ったのだけれど、「内科的な異常はないから心療内科への受診してみては」と勧められました。ついては副作用などで迷惑お掛けするかもしれませんが宜しくお願いします」といった説明をしておく方が後腐れが少なかったので、その方が安全度が高いだろうとの考えからです。

最後に四つ目の理由としては、残念ながら個人的な経験として良い心療内科を探すことはなかなか難しいと考えているからです。私自身数軒は回りましたが、これぞと思ったのは今の主治医くらいのものです。…まぁ、単純に私がハズレを引き続けてきただけかもしれませんが…。

何にしろ向精神薬は脳にダイレクトに作用しますから、適当に診断して適当に処方してもある程度は「効いてしまう」のです。そしてハズレを引いた場合副作用や必要以上の生活の質の低下、そして安くない治療費を背負うのは患者側です。そして、大抵の人は心療内科に通院するのは初めてですから「これが普通なのだ」と思ってしまいがちなのです。そして、風邪やその他の病気になれば通うであろう内科の方が「普通の内科はどんな感じか」といった感覚が働きやすいと思うのです。

さあ、心療内科へ行こう

まず病院選びのバッドノウハウ

前述しました通り、良くないあるいは相性の悪い精神科医に当たると酷い目に遭います。そして、悲しいかな受診しないことには判らない部分が多いものです。ひとまず私が受診した限りでの「これはダメだ」と思った事案をつらつらと書いてまいります。こういう事例に遭遇したら逃げましょう。

まず1つ、問診と診断をほとんどしない。「何を馬鹿な」と言われるかもしれませんが、発症時期と患者言う症状だけ聞くだけ聞いてカルテに何事かメモを取って処方箋書いて終わり という心療内科も存在するのです。一番酷かったのは、とある事情で診断書が必要になった際に「診断書、病名何て書いて欲しい?」と訊いてきた医者でした。なんというか「あー、この人診断する気全くなかったんだな」と思いました。

続いて2つ、やたらと新薬を推してくる。いきなり新薬です。「つい最近認可された薬なんだけど臨床データではね、自殺の発生率が25歳未満だと○○%なんだけどね… まあ君なら多分大丈夫だよ?」となんかもう嬉しげに説明してきました。逃げました。正直、新薬がどうこうというか患者見てないだろ って感じでした。

更に3つ、とにかく薬の数を増やす。または用量を増量し続けていく。問答無用で「こういう症状が気になるのですが…」「じゃ、お薬追加しますねー」とか「あんまり効いてる感じもなくひたすら眠いんですが」「じゃあ効くまで増量しようねー」(いや、そもそも効いてる感が全くないんですけど…)とまあそんな感じ。真面目に飲んだら副作用で終日白昼夢状態になりました。尚、最近の心療内科的なトレンドとしては「なるべく少ない主剤と、主剤を補助する助剤を適宜入れる」とまあそんな感じらしいです。用量に関しては今の主治医曰く「ヤバくない範囲で、効いたと患者が言った量が適量」とかそういう話らしいですが…。

あ、基本的には用法用量は守って、独自判断で飲むのやめたりまとめて飲んだりはしないで下さいませ。最近の薬は血中濃度の推移とか吸収率とか割と計算の上で作られてるのと、独自判断で薬をやめると反動に近い症状が出たりすることがありますので。

最後に4つ、患者側に診断させる。これ一見選択肢を患者に提供してて良さげなのですが、判断材料ゼロで「どれ飲みたい?」と訊いてくるような感じでした。特定のお薬大好きな方には嬉しい先生なのかもしれませんが、私としては「私としてはこういった症状が考えられると思っていて、選択肢はこれとこれとこれで違いはこんな感じなんだけどどれがいい?」くらいまで絞ってくれる方が有難かったです。

問診に際して

改めてになりますが症状をメモを取った上で、病状を説明するといいと思います。例えば「他にこういう症状はないのか」「こういうタイミングでは症状はどうなるのか」といった風に医師側が訊いてくれば少なくとも真面目に診断をしようという意思があると思われますのでなるべく詳細に答えてください。

また、「精密作業をしないといけないので手元が狂うようでは困る」とか「日中意識が朦朧としては困る」とか「車やバイクの類が運転できる処方にしてほしい」とか「多少の副作用は目を瞑るから不安を抑えてほしい」とか「経済的な問題があるので、できれば配慮してほしい」といった生活の質に直結する要望は遠慮なく言いましょう。その辺を可能な範囲でどう捌くかが医師の腕 というものだと私は思っています。

いつ通院すべきか いつ薬を飲むべきか

極端な話、抗欝剤の類は神経を抑制しにかかるのがお仕事ですので、副作用ないしきちんと効いた結果緊張の糸が切れる関係でぶっ倒れる可能性があるため通院は休日の前日が望ましいかと思います。

繰り返しになりますが、薬に関しては基本的に医師と薬剤師の指示を守ってください。間違っても効かないからと1シート飲んだりしないで下さい。

また、最近の薬は大分マシになりましたがかつては薬によっては「慣れるまで6割、慣れても3割くらい日中の思考能力を持って行かれる」といった勢いで意識が朦朧とするようなものもありましたので、医師と生活サイクルとの兼ね合いをよく相談の上飲むタイミングを決定して下さい。また、そういった酷い副作用が出た場合は迷わず通院してください。

尚、私は色々あってエビリファイという薬を金曜だか土曜だかから飲むことになって、日曜にはアカシジア(静座不能)というヤバい副作用を引いて月曜に病院に駆け込みました。静座不能というだけあって、本当に座るのも寝るのも落ち着かなくなって夜中の朝の7時から夜の28時まで歩き続ける といった目に遭いました。お陰様で暫く新薬と副作用が怖かったです。

終わりに

以上、散々脅し上げましたが近年の抗欝剤の効き目は素晴らしいですし、不適切に使用しさえしなければ精神の健康を保つ一助となります。とはいえ治療の上では充分に休息を取り、ストレスの原因が除去できれば言うことはありません。可能であればそのための余裕を作るためのものとして、余裕を作ることが叶わないとしてもできるならば必要以上に縋って溺れたりするようなことのないように用いていただければと思います。

どうぞ用法用量を守り、正しくお使い下さいませ。